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“ファンがつくブランドは、“語られる物語”を持っている”

はじめに

「ブランドを好きになってもらいたい」「長く応援されるブランドにしたい」ーーそんな企業の願いの裏には、ただ“良い商品を出す”だけでは不十分という現実があります。数多くある競合ブランドの中で「このブランドだから選びたい」「このブランドのファンでいたい」と思ってもらうためには、商品やサービスの機能を超えて、“語られる物語”=ストーリーが必要です。


1.なぜ「語られる物語」がブランドにとって不可欠なのか?

まず、ブランド構築・ファン形成の観点から“物語”の役割を整理します。

  • ブランドの物語は、ターゲット顧客に「なぜこのブランドが存在するのか」「何を大切にしているのか」「どんな価値観を共有しているのか」を伝える手段です。

  • 物語を持つブランドは、ただ消費される存在ではなく、「共感され、語られ、応援される存在」になりやすい。

  • ファンがそのブランドの物語を語りたくなったとき、紹介・口コミ・SNS投稿など“自発的な拡散”が起こりやすく、マーケティング施策だけでは生み出せない力を発揮します。

  • 逆に、物語が曖昧・浅いブランドは「そのブランドだから」という選ばれる理由が弱く、価格や機能比較で他ブランドに流されやすい構造になりがちです。

こうした観点から、ファンがつくブランド=「語られる物語を持っているブランド」と言えるのです。


2.物語を持たない(あるいは語られない)ブランドが抱える典型的な課題

ブランドが物語を欠いたまま運営を続けると、次のような落とし穴に陥ることがあります。

課題①:理念・背景・価値が伝わっていない

  • 商品やサービスのスペックや価格が前面に出ていて、「なぜこのブランドがこの商品を作ったか」「どんな人を応援したいか」といった物語が伝わっていない。
  • 結果、ターゲットが「他でもいい」と感じてしまいやすく、ブランドロイヤリティが育ちにくい。

課題②:顧客が“語る”きっかけがない

  • ブランドは存在していても、それが語られるまで届いていないと、ファンがブランドを自分ごと化する段階に至りません。
  • SNSやレビューで「このブランドの〇〇が好き」という発言が生まれないと、口コミ/紹介/リピートといった波及が起こりにくくなります。

課題③:差別化できず価格・機能で勝負してしまう

  • 物語が曖昧だと、ブランドは機能比較・価格比較の土俵に立ってしまい、競合と同じ戦いを強いられがちです。
  • SNSやレビューで「このブランドの〇〇が好き」という発言が生まれないと、口コミ/紹介/リピートといった波及が起こりにくくなります。

3.“語られる物語”を持つブランドの共通点

物語を持ち、ファンに語られているブランドには次のような共通の特徴があります。

  • 明確な起点(Why)を持っている
    ⇨「なぜこのブランドを創ったのか」「どんな世界を目指しているのか」が明文化され、その言葉がブランド全体に浸透しています。
  • ターゲットと価値観が共鳴している
    ⇨ブランドが届けたい価値と、ターゲットの背景・悩み・希望が合致しており、「このブランドは自分のため/自分と一緒に歩んでくれる」と感じてもらえています。
  • 顧客参加・共創の場が設けられている
    ⇨ブランドだけが語る物語ではなく、顧客/ファンが“語る/投稿する/共有する”ことができる仕掛けが設けられており、そこで物語が循環します。
  • 物語がチャネル・接点を通じて一貫して語られている
    ⇨Webサイト・SNS投稿・パッケージ・広告・イベント・サービス体験など、あらゆる接点でブランドの物語が一貫して伝えられ、物語が“体験”として顧客に届いています。

4.“語られる物語”を設計・発信するための4ステップ

では、実際にブランドとして「語られる物語」を持ち、それをファンが語るレベルに引き上げるためのステップをご紹介します。

①ブランドの起点(Why)とターゲット設計

  • ブランドが存在する「理由(Why)」を言語化する:なぜこのブランドを立ち上げたのか/どんな世界を創りたいのか。
  • ターゲットペルソナを設計し、その人がどんな価値観・背景・悩みを持っているかを深掘り。
  • 提供価値を定義:「このブランドがターゲットとどんな“変化”を一緒に創りたいか」を設計。

②物語体験と顧客参加設計

  • ブランドストーリー:創業背景・ブランドの想い・ブランドが歩んできた道のり・これからのビジョンを整理。
  • 顧客が物語に自身を投影できるような体験設計:投稿/レビュー/コミュニティ/イベントなど、顧客がブランドの“語り部”になれる仕掛けを用意。
  • 接点設計:Web・SNS・実店舗/商品パッケージなど、あらゆるチャネルで物語を伝える仕掛けを統一。

③発信・共創・循環設計

  • コンテンツ設計:物語を表現する投稿・動画・記事・インタビューなどを設計し、ブランドの物語を“語らせる”ための媒体を整備。
  • UGC/口コミ促進:ファン/顧客がブランド物語を自分の言葉で語れる仕組みを作る(例:ハッシュタグキャンペーン・ファン投稿募集)。
  • 導線設計:ファンが語る⇨他の人がそれを目にする⇨興味を持つ⇨接触・購入というサイクルを描く。

④振り返り・深耕・拡張

  • KPI設計:例えば「ブランドを語った投稿数」「ファンが投稿をシェアした数」「紹介/口コミ数」「リピート率」など、物語が語られることを数値化。
  • 定期分析:物語に共感した投稿/共感しなかった投稿を分析し、物語の伝わり方・語られ方を検証。
  • 成功モデルの拡張:語られた物語が反響を呼んだテーマ・フォーマット・チャネルを抽出し、規模を拡大。
  • 物語のアップデート:ブランドや顧客の状況が変化したら、物語も更新・深化させ、常に“語られる”状態を維持。

5.まとめ

ブランドにファンがつくためには、単に良い商品・良いサービスというだけではなく、「語られる物語」を持ち、顧客がその物語を共にし、語りたくなる存在」であることが重要です。
物語があることで、ブランドは「記憶される」「選ばれる」「応援される」存在へと変わり、ファンが自ら語り、拡散し、ブランドを支える力となります。
ぜひ、この機会に自社ブランドの“Why・物語・顧客参加設計”を見直し、「語られるブランド」へと進化させてください。


執筆:株式会社SHIKI JAPAN 取締役 / COO 瀬戸郁哉
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