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“広告ではなく、共感で売る時代へ”

はじめに

かつてマーケティングの王道は「大量の広告打って、認知とって。購買に繋げる」というものでした。ですが、今では消費者の情報感度が高まり、広告だけでは“見てもらえる”ことは増えても、“動いてもらう”ところまで届かないというケースが増えています。
「企業側が伝えたいこと」ではなく「顧客が共感すること」が売れる時代に変わりつつあります。つまり、広告を出すだけではなく、共感を起点に価値を届けるマーケティング構造が求められているのです。
本記事では、なぜ共感が重要なのか、広告中心の構造が抱える限界、そして「共感で売る」ための実践ステップを整理いたします。


1.なぜ「広告中心」から「共感中心」へ変わるのか?

まず、マーケティング環境の変化と、広告が効きにくくなっている背景を整理します。

①広告中心マーケティングの限界

  • 消費者接点が分散しており、広告が“通り過ぎる”だけの接触になってしまうことが多い。
  • 広告クリエイティブ・メッセージが大量投下される中、差別化が困難となり、「他と変わらない/価格でしか判断されない」という状況が生まれやすい。
  • 消費者の信用・信頼の尺度が変わっており、広告を見るだけでは「このブランドを選びたいか」に至らない。

②共感中心マーケティングが有効になっている理由

  • 消費者は「商品の機能」だけでなく「このブランド/この企業とどう関わるか」「自分の価値観とブランドの価値観が合っているか」を重視するようになっています。
  • SNS・レビュー・口コミ・コミュニティが発展しており、共感が“シェア/紹介”を生み、広告以上に波及力を持つケースがあります。
  • 中小企業やブランドでも、広告費を大量投入せずとも「強み・価値・物語」で共感を獲得できれば、少ないリソースで成果を出せる構造となっています。

このため、「広告打ったから売れる」というモデルから、「共感を起点に売れる/動いてもらえる」モデルへと転換することが、今こそ求められています。


2.「広告ではなく、共感で売る」ために抑えるべき3つのポイント

共感を起点にマーケティングを構築するためには、以下のポイントが重要です。

ポイント①:ターゲットの「感情/価値観」を観る

広告中心では「この商品を使ってください」というメッセージになりがちですが、共感中心では「あなた(顧客)が何を感じているか/何を大切にしているか」に寄り添います。
具体的には、ターゲットペルソナを深掘りし、「どんな価値観を持っているか/どんな背景や悩みを抱えているか」を整理します。そこで共感軸を構築し、その上でブランド・商品がどうその価値を支えるかを言語化することが鍵です。

ポイント②:ブランド・物語価値を設計する

共感マーケティングでは、ブランドや商品に対して「どんな物語/価値観/関係性」を提供できるかが差を生みます。これは単なる機能訴求ではなく、「このブランドと一緒に何を体験できるか」「このブランドだからこそ感じられるものは何か」を構築すること。
広告では機能・価格・特徴を伝えることが中心ですが、共感マーケティングでは“関係設計”が中心になります。

ポイント③:行動を伴う導線・コミュニケーション設計

共感を生んでも、「見られただけ」で終わっては、売上には繋がりません。「共感⇨信頼⇨行動(購入/紹介/再購入)」という流れを設計することが重要です。
このためには、広告的接触だけでなく、「SNS投稿/ストーリー/レビュー/ユーザー参加体験/口コミ/ファンコミュニティ」などを活用し、共感を“態度変容”・“行動変容”に結び付ける導線を構築します。


3.広告中心モデルと共感中心モデルの典型的な違い

下表に、マーケティング活動を「広告中心」から「共感中心」に転換する際の典型的な違いを整理します。

項目広告中心のモデル共感中心のモデル
①アプローチ多くの人に”告知”を届ける特定の人に”共感”を届ける
②メッセージ機能・価格・特徴を訴求価値観・感情・体験を訴求
③成果指標リーチ数/露出/クリック数保存数/シェア数/コメント数/
紹介数/ファン化率
④コミュニケーション一方向(企業→消費者)双方向/参加型(消費者も関与)
⑤ブランドの強み見せること/認知拡大支えること/信頼/ファン化

このように、モデルを意識的に変えることで、単なる広告投下では達成できなかった「共感による動き」「ファンによる拡散」「持続可能な関係構築」が可能になります。


4.「共感で売る」ための4ステップ実践プラン

それでは、企業が「共感を起点に売る」マーケティングをスタート・実行・改善するための4ステップを紹介します。

①現状整理と共感設計

  • 自社ブランド・商品・サービスの現状:誰に売れているか/どんな人が使っているか/競合との違いは何かを整理。
  • ペルソナ設計:ターゲットの価値観・背景・悩み・行動特性を明確に。
  • 自社がそのペルソナに対してどんな価値・体験を届けられるかを言語化。「あなた(顧客)とブランドがどう関係するか」を設計。

②ブランド・物語価値と接点設計

  • ブランドストーリー:なぜブランドはこの価値を提供するのか、その背景・想い・変化を整理。
  • 接点設計:広告以外にも、SNS投稿/UGC/口コミ/イベント/コミュニティなど、顧客が“関与”できる場を設計。
  • メッセージ設計:ターゲットが共感しやすい「言語/トーン/フォーマット」を決め、「投稿/広告/コンテンツ」に落とし込む。

③導線設計と行動測定

  • 導線設計:共感から購入/紹介/継続へとつながるルートを描く(例:SNS投稿⇨保存/シェア⇨サイト訪問/資料請求/購入⇨レビュー/紹介)。
  • 「KPI設計」「保存数」「シェア数」「コメント数」「紹介件数」「リピート率」など、共感⇨行動を示す指標を設定。
  • 小規模実験:広告とは別に、共感を喚起するコンテンツを投稿/配信し、どのメッセージ・フォーマットが反応したかを検証。

  • 定期レビュー:指標値・定性フィードバック(コメント/口コミ/レビュー)を分析。
  • 成功パターンの抽出:反応が良かった投稿・体験・導線の共通要素の抽出。
  • スケール設計:成功モデルをベースに導線・接点・コミュニケーションを拡張。広告投下も「共感を補強する」形で再設計。
  • 文化化:社内に「共感で売る」視点を浸透させ、単発の施策ではなく“共感を起点としたマーケティング体制を定着させる。

5.まとめ

広告だけに頼る時代は終わりつつあります。そして、多くの企業にとって勝ち筋となるのは、「共感を起点に、関係を築き、行動を生む」マーケティング構造です。
「見てもらう」から「感じてもらう」「共感してもらう」「応援してもらう」へ。企業がこの視点にシフトすれば、単なる広告施策以上の価値・信頼・継続的な顧客関係を構築できます。
ぜひ、「広告ではなく、共感で売る時代へ」という視点を持ち、今すぐ自社のマーケティング設計を再検討してみてください。


執筆:株式会社SHIKI JAPAN 取締役 / COO 瀬戸郁哉
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