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『リーチ』より『共感』。SNSマーケティングの新しい成功指標。

はじめに

SNSを活用したマーケティングにおいて、かつては「どれだけ多くの人に届いたか(リーチ)」「フォロワー数」などが成功のパロメーターとされてきました。
しかし近年、特に中小企業やブランドが限られたリソースを使って成果を上げるためには、「どれだけ人に届いたか」ではなく「“どれだけ”刺さり・“動いてもらえたか”=共感」にフォーカスすることが極めて重要になっています。
なぜなら、リーチだけでは“見られて終わる”状態になりやすく、実際の顧客化・ファン化・売上に結びつかないからです。
本記事では、「なぜ“共感”が新しい成功指標なのか」「リーチ重視の運用が抱える落とし穴」「共感を起点にしたSNSマーケティングのステップ」を整理します。


1.“リーチ重視”運用の落とし穴とは?

まず、SNSマーケティングで「リーチを追えば成果が出る」と考えてしまう理由と、その運用が抱える構造的な問題を整理します。

なぜ「まずリーチ」が選ばれてしまうのか

  • 多くのSNSプラットフォームで、フォロワー数・再生数・いいね数などが可視化しやすく、社内報告・KPI報告で「数値化できる指標=リーチ系」が優先されがちです。
  • とにかくたくさん見られればいい」という思考が手段先行になり、ブランドの価値設計・ターゲット設計・コンテンツ設計が省略されることがあります。
  • 成果(問い合わせ・購買・リピート)に至るまでの「動き」の設計なしに、まず“投稿を量産”“リーチを拡げる”という運用がスタートしてしまうことが多いです。

リーチ重視のままでは起きる問題

  • リーチ・再生数は稼げても、ターゲット外の人に届いてしまうことがあり、興味・関心・行動には繋がりにくい。
  • 投稿内容が“とりあえず広く見てもらえるもの”になり、ブランドのメッセージ・価値が薄まり、“見られて終わる”運用になってしまう。
  • 結果として、手を動かしている感はあるものの、顧客化・ファン化・売上という“次のステージ”が見えず、運用が停滞しがちです。

2.“共感”を新しい成功指標とすべき理由

次に、「なぜ”共感”を指標化することが必要なのか」を解説します。

  • 共感=対象が「理解し・納得し・行動したい」と感じること。SNSマーケティングでは、フォロー・いいね・リツイート・保存・コメント・シェアなど、“反応”が“行動”へとつながる導線の入口となります。
  • ブランド/サービスが「誰に」「どんな価値を」「どう届けるか」が明確になっていれば、投稿1件あたりの“共感度”が高まり、結果として“深いリーチ(質の高い接触)”が得られます。
  • 共感を重視すると、以下のようなメリットがあります
    ・フォロワーや視聴者が“ただ見た”だけでなく、“心に残った”“行動に移したい”と感じ、購買・来店・資料請求などの動きに繋がりやすい。
    ・ブランド価値・ファン化が進みやすく、長期的な関係構築が可能になる。
    ・効率が上がる:リーチを追うための広告コストや投稿数を増やす運用ではなく、少ない“刺さる投稿”で成果が出せる体制構築が可能。

つまり、量ではなく“質(解像度/共感度)”が、SNSマーケティングの成功を決める新しい軸なのです。


3.“共感”を生むために避けるべき典型パターン

“共感”を設計できていない運用には、以下のような典型的なパターンがあります。

パターン①:広く浅く届くが深く刺さらない

  • ターゲットを広範に設定し「とにかく多くの人に見てもらおう」と投稿を量産。
  • 結果:拡散はされるが、ブランド理解・サービス理解・興味関心深化に至らず、動き(購買/問い合わせ)に繋がらない。

パターン②:投稿テーマが“話題だから”“映えそうだから”

  • 流行トレンド・バズ予感コンテンツを優先し、自社の価値・顧客の背景・メッセージ設計が希薄。
  • 結果:一時反応は出るかもしれないが、継続性・ブランドらしさ・ファン化が育たず、次第に反応が落ちていく。

パターン③:行動への導線がない“投稿して終わり”構造

  • 保存・シェア・リンククリック・サイト訪問・問い合わせなど“次につながる動き”を設計せず、投稿だけを出し続ける。
  • 結果:視聴数・いいね数は出るものの、成果(リード/購入)に至らないため、運用が形骸化する。

4.“共感”を指標化してSNSマーケティングを再設計する4ステップ

では、実践的に「共感を起点」としたSNS運用を構築するためのステップを紹介します。

①現状整理と目的設計

  • 現在のSNS運用状況:フォロワー属性・投稿テーマ・いいね/保存/シェア数・リンククリック数・資料請求/問い合わせ数を整理。
  • “共感”をどのように測るかを定める(例:保存率×シェア率/フォロワーからのコメント率/リンククリック数から資料請求への転換率)。
  • 目的を数値で設計:例えば「6ヶ月で保存率を投稿当たり10%→15%に」「フォロワーからの資料請求率を1%→3%に」など。

②ターゲット・価値・メッセージ設計

  • ターゲット(ペルソナ)を詳細に設定:年齢・性別・職業・価値観・課題・SNS上の行動特性。
  • そのペルソナが抱えるニーズ・課題を整理し、「どんな価値を提供すれば“共感”が生まれるか」を設計。
  • 投稿1本1本に「この人に/この価値を/この形式で/どんな気持ち・行動に繋げたいか」を明文化し、投稿設計に落とし込む。

③投稿フォーマット・導線設計+KPI設計

  • ターゲットが最も接触しやすいフォーマット(フィード・リール・ストーリーズ・ライブ)を選び、投稿テーマ・トーン・フォーマットを設計。
  • 投稿ごとに“共感を生む設計”を入れる:保存促進、コメント促進、シェア促進、リンク誘導など。
  • KPIを設計:保存数/シェア数/コメント率/リンククリック率=“共感反応数”を重視。さらに、リンククリック→資料請求/購入などの“行動率”を設計。

④振り返り・改善・共有サイクルを確立

  • 投稿データを月次で集計:保村・シェア・クリック・コメント率・フォロワー増加・資料請求件数など。
  • 成果が出ている投稿(共感が高かった)について、共通点(ターゲット背景・メッセージ・フォーマット・投稿タイミング)を抽出。
  • 成果が出ていない投稿については「ターゲットズレ/メッセージズレ/導線ズレ」を分析。
  • 部門・チームで結果共有し、次月の投稿計画に“共感設計”のベストプラクティスを反映。

5.まとめ

SNSマーケティングの成功を測る指標は、もはや「どれだけ多くの人に届いたか(リーチ)だけでは十分ではありません。これから求められるのは、「どれだけ人に深く響き、行動を促したか(=共感)という指標です。
共感を指標に据えることで、投稿数を追うだけの運用から脱却し、ブランド価値の強化・顧客化・ファン化・購買への導線設計を伴った運用へと進化できます。限られたリソースを持つ企業ほど、数ではなく“深さ”・“意味”に投資することで、SNSは真の成果ドライバーになります。
ぜひ、次回のSNS運用を考える際には「リーチ」ではなく「共感」という視点を中心に据え、設計・実行・改善を行ってみてください。


執筆:株式会社SHIKI JAPAN 取締役 / COO 瀬戸郁哉
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