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経営とマーケティングを繋ぐ“CMO思考”とは?

[見出し]はじめに[/見出し]

「マーケティング部がバラバラに施策を打っている」「経営層とマーケ部門でゴールがずれていて成果があがらない」ーーこのような悩みを抱える企業は決して少なくありません。
その背景には、マーケティング部門が“施策を実行する部門”と捉えられ、経営戦略・事業戦略との接続(=上流設計)が弱いという構造があります。そこで必要になるのが、単なる“マーケティング思考”ではなく、経営視点を持ち、マーケティングを経営・事業成果に結びつける「CMO思考(Chief Marketing Officer思考)です。
本記事では、「CMO思考とは何か」「なぜ今、会社に必要なのか」「どのように社内で醸成・実践すべきか」の3点を整理します。


[見出し]1.“CMO思考”とは何か?[/見出し]

まずは「CMO(最高マーケティング責任者)」というポジションの定義から整理します。

[ポイント]・CMO:経営視点からマーケティング戦略を策定・実行し、ブランド価値・顧客価値・売上成長・事業成果を統括する責任を持つ役割です。

“CMO思考”とは、そのポジションに期待される「戦略的に思考・設計し、経営とマーケティングを繋ぎ、組織・プロセス・数値でマーケティングを機能させる思考」のことを指します。
つまり、マーケティングは“手を動かす施策”ではなく、「経営の目的を果たすための価値提供設計・チャネル設計・実行設計・KPI設計」を含むものであるという視点です。[/ポイント]

この視点を持つことで、単発の広告/SNS投稿/キャンペーンではなく、事業成長を支えるマーケティング構造を築くことが可能になります。


[見出し]2.なぜ今、“CMO思考”が重要なのか?[/見出し]

企業がマーケティングで思うように成果を出せない理由の多くは、例えば以下の通りです:

  • マーケティング部門と経営/事業部門との目線・目的がずれている。
  • マーケティング活動(施策)が“手段”に終わり、経営ゴールや数値成果と結びついていない。
  • 顧客視点・競合環境・チャネル構造の中で、「なぜこのマーケをするのか」が曖昧で、活動が散漫化している。

このような状況を打破するためには、マーケティング部門が「顧客価値」「競争優位」「ビジネスモデル」「チャネル戦略」「KPI設計」といった経営的な視点を持ち、経営/事業部門と密に連携しながらマーケティングを動かす必要があります。つまり、CMO思考を組織に浸透させることが、マーケティングを“部門活動”から“価値創造のエンジン”へと転換する鍵となるのです。


[見出し]3.“CMO思考”を持たないと起きる典型的な落とし穴[/見出し]

CMO思考が欠如していると、以下のような落とし穴に陥ることが多いです。

[チェック]①マーケ部と経営/事業部の分断[/チェック]

  • 例:マーケ部門がSNSフォロワー数を増やす施策を進めるが、それが売上・利益・新規顧客獲得数と結びついていない。
  • 問題:フォロワー数という“数値”は伸びても、それが事業成果として測定されていないため、経営層には価値として見えづらい。

[チェック]②短期施策ばかり回して本質を見失う[/チェック]

  • 例:キャンペーンを次々と打つが、ターゲット設計も価値設計も曖昧。
  • 問題:施策は“動いた感”を得やすいが、再現可能な成果モデルにならず、リソース消費される。

[チェック]③マーケ部と経営/事業部の分断[/チェック]

  • 例:キャンペーンを次々と打つが、ターゲット設計も価値設計も曖昧。
  • 問題:施策は“動いた感”を得やすいが、再現可能な成果モデルにならず、リソース消費される。

[見出し]4.“CMO思考”を実践するための4ステップ[/見出し]

では、どのようにして“CMO思考”を組織・マーケティング活動に落とし込むか、以下の4ステップで整理します。

[チェック]①経営・事業戦略との接続を明確化する[/チェック]

  • 自社のビジョン・ミッション・中期経営計画・事業戦略をマーケ部門で確認。
  • マーケティング活動がその経営・事業ゴールのどこに貢献するのか(売上、新規開拓、リピート、LTV、ブランドなど)を明文化。
  • 部門横断で「マーケが貢献すべきゴール」を共有する。

[チェック]②顧客・価値・チャネル・差別化の設計[/チェック]

  • ターゲットペルソナを再定義し、顧客の課題・ニーズ・価値観を整理。
  • その顧客に対して自社がどんな価値をどう届けるかを設計。
  • 競合他社分析を行い、自社の差別化ポイントを明確にする。
  • チャネル(オンライン/オフライン)と接点設計を行い、顧客との体験を繋ぐ。

[チェック]③KPI/KPIツリー/実行ロードマップの策定[/チェック]

  • 経営ゴールから逆算し、マーケティングが貢献すべき数値(KPI)を設定。
  • KPI以下の指標(例:リード数、資料請求数、訪問数、成約数、顧客単価、LTV)をツリー構造で整理。
  • 実行する施策(戦術)をロードマップ化し、責任者・スケジュール・予算を明記。

[チェック]④改善サイクルを機能させる仕組みづくり[/チェック]

  • 定期レビュー(例:月次、四半期)を実施し、KPI/定性データを分析。
  • 成果が出ていない場合には、戦術だけなく「戦略設計(ターゲット・価値・チャネル)」に立ち返る。
  • 成果が出ているなら、成功要因を再現しスケール化。
  • マーケ部門と経営/事業部門の連携会議を定例化し、横串で情報・数値・意思決定を共有。

[見出し]5.中小企業が「戦略の断絶」を防ぐためのヒント[/見出し]

  • 「マーケティング=施策」ではなく「マーケティング=価値創造と事業貢献」であるという認識を組織に浸透させる。
  • 戦略設計フェーズ(ターゲット/価値/チャネル)を省略せず、まずペンを取りましょう。数値設定(KPI)を早期に行うことで、マーケ活動が“何のために”動いているか明確になります。
  • 少人数・小予算でも構わないので、マーケ部門と経営/事業部門で、「今期、マーケが経営にどう貢献するか」を共通言語化することが出発点です。
  • “成功体験”を社内で可視化・共有し、マーケティングが“部門横断的に価値を創る”という意識を醸成する。
  • 定期的な振り返りと改善を制度化し、戦略と実行を“つなぐ設計図”を運用可能なものにする。

[見出し]6.まとめ[/見出し]

経営とマーケティングを繋ぐ「CMO思考」は、もはや大企業だけの特権ではありません。中小企業・成長企業にとってこそ、限られたリソースを最大限生かし、マーケティングを“部門施策”から“事業成果ドライバー”へと昇華させる鍵となります。
マーケティング部門が経営の目的とリンクし、ターゲット・価値・チャネル・数値を設計し、実行・改善サイクルを回すことで、組織は“手を動かす”から“勝ちに行く”体制へと変化します。
ぜひ、本記事を起点に「CMO思考」を自社に浸透させ、マーケティングを組織の力強い成長エンジンに育ててください。


執筆:株式会社SHIKI JAPAN 取締役 / COO 瀬戸郁哉
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