[見出し]はじめに[/見出し]

「広告を打ったのに成果が出ない」「SNS投稿を増やしたものの反応が薄い」「キャンペーンを回しても次につながらない」ーーこうした悩みを抱える企業は少なくありません。多くの場合。原因は“手を動かしてから考える”というプロセスが常態化しており、実はその前段階、すなわち“上流設計(戦略・構造設計)”が十分でないまま、戦術に移ってしまっているのです。本記事では、マーケティング活動も“上流設計”がなぜ重要なのか、そしてそれが7〜8割を決めるという視点から整理し、自社で実践できる設計プロセスを提示します。
[見出し]1.“上流設計”とは何か?[/見出し]

まずは“上流設計”の意味を整理しておきましょう。
[ポイント]・上流設計:マーケティング活動における“誰に/何を/どのように価値提供するか”という骨格設計。ターゲット設計、顧客課題整理、価値提供設計、チャネル投稿、KPI設計などを含みます。
・下流(=戦術):上流設計を受けて実施する具体的な手段です。(例:SNS広告、投稿、イベント、キャンペーンなど)。
“上流設計”が十分であれば、その後の戦術がスムーズに、かつ機能します。逆にこの設計を疎かにすると、どんな手段も“散らばり・重複・空回り”を生みやすくなります。[/ポイント]
このため、「マーケティングの8割はこの上流設計で決まる」と言っても過言ではありません。手段・フォーマット・チャネルは変化しても、この設計の精度が成果を左右します。
[見出し]2.なぜ“上流設計”が軽視されがちか?[/見出し]

中小企業/専門部門において“上流設計”が後手になりやすい背景には、次のような要因があります。
[チェック]2-1.“目に見える成果”を早く出したい[/チェック]
「今すぐフォロワーを増やしたい」「広告出して反応を見たい」といった思いから、ともかく戦術を手がけてしまいがちです。上流設計の時間を確保できず、結果として“何となく施策を回す”状態になります。
[チェック]2-2.設計に必要なリソース・知見が社内にない[/チェック]
上流設計には、顧客インサイト分析、競合環境把握、チャネルマッピングなど、一定の知見と時間が必要です。これが不足している組織では「とりあえず手を動かそう」という流れになり、設計が省略されることが多いです。
[チェック]2-3.戦術が“流行り施策”に見えてしまう[/チェック]
“TikTokチャレンジ”“インフルエンサー活用”“ショート動画キャンペーン”など、手段として魅力的な施策が先に見えてしまうと、「まずそれをやろう」に陥ります。しかし、これらが自社の上流設計と持続していなければ、成果は限定的になりがちです。
[見出し]3.“上流設計”に力を入れると得られる3つのメリット[/見出し]

上流設計を丁寧に実施することで、以下のようなメリットがあります。
[チェック]3-1.リソース配分の最適化[/チェック]
誰にどんな価値を届けるかが定まると、広告予算・人的リソース・時間を“やるべきこと”に集中できます。無駄なチャネルやターゲットを排除でき、効率的な運用が可能になります。
[チェック]3-2.施策とメッセージの整合性が高まる
[/チェック]
設計段階で「このターゲットにはこの価値を」「このチャネルではこのメッセージを」と整理すると、後続の戦術がバラバラにならず、一貫性をもった顧客体験を提供できます。ブランド信頼性も高まります。
[チェック]3-3.成果に結びつく構造を描ける
[/チェック]
ターゲット・価値・チャネル・KPIが設計されていれば、「どの戦術がこの構造に効いたか」「改善すべきはどこか」。が明らかになります。つまり、戦績を測定・改善できる構造です。これがないと「何となくやった」「反応が出た/出なかった」しか言えず、再現性も持てません。
[見出し]4.“上流設計”が手薄だと起きる典型的な落とし穴[/見出し]

設計を軽視した状態では、以下のようなパターンに陥ることがあります。
[チェック]落とし穴①:ターゲット曖昧→手段ばかり増える[/チェック]
例:「若い人全般」「とりあえずインスタやろう」といった曖昧な設定。結果、広告や投稿が“誰にも刺さらない”内容になり、反応は出ても成果につながらない。
[チェック]落とし穴②:価値訴求がぼんやり→差別化できない[/チェック]
「商品紹介」「新商品出した」「キャンペーンやる」という戦術は見えるが、「なぜこの商品を選ぶのか」「競合ではなくこの会社を選ぶ理由」が伝わらない。結果として価格競争・散漫なマーケに。
[チェック]落とし穴③:チャネル・メッセージの選定が戦術ベース→ムダが多い[/チェック]
「SNSに投稿」「YouTube流す」「広告予算投入」といった戦術が並ぶが、ターゲットとの接点設計が甘いと、どのチャネルも“効いてない”状態に。設計があれば、優先チャネル・メッセージ設定が明確になります。
[見出し]5.中小企業が「戦略の断絶」を防ぐためのヒント[/見出し]

実際に上流設計を自社で取り組むためには、以下のステップが有効。
[チェック]①現状整理と仮説設計[/チェック]
- 自社の現状:ターゲット顧客、提供価値、チャネル、競合状況の棚卸し。
- 問題仮説:「なぜターゲットに届いていないか」「なぜ価値が伝わっていないか」など。
- 成果目標:新規獲得数、リピート率、認知/検討/購買の各フェーズでの数値
[チェック]②上流設計(戦略構築)[/チェック]
- ターゲット:明確なペルソナ策定。悩み・背景・価値観まで。
- 提供価値:ターゲットの課題に対して、自社ならではの価値をどう届けるか。
- 差別化:競合の訴求内容/自社の強み/競合が弱い領域
- チャネル設計:どの接点で、どんな体験を設計するか。オンライン・オフライン両軸。
- KPI設計:どの数値をもって「上流設計が機能した」と判断するか。
[チェック]③戦術と実行[/チェック]
- 上流設計に基づき、戦術を2〜3本に絞る(多すぎはコスト増)。
- 戦術ごとにKPI/担当/スケジュール/予算を決める。
- 実行前に「この戦術が設計に即しているか」をチェック。
[チェック]④振り返り&改善[/チェック]
- 定量、定性で結果を振り返る。設計にズレがないかを検証。
- 成果が出ない場合:戦術ではなく「上流設計そのもの」を見直す。
- 成果が出ている場合:成功の要因を分析し、スケールへ。
[見出し]6.中小企業/マーケター向け/“設計に強くなる”ためのヒント[/見出し]

[チェック]6-1. 上流設計は“難解”であってはなりません。「誰に/何を/どう届けるか」を3つだけでも整理する。[/チェック]
[チェック]6-2. 「まず数値目標を持つ」ことが設計力を高める近道。例えば「6ヶ月で新規獲得50件」「リピート率を30%に」など。[/チェック]
[チェック]6-3. 手段選定前に必ず「この手段は設計に即しているか?」を自問する習慣を持つ。[/チェック]
[チェック]6-4. 社内で“手段先行”の流れが常態化している場合、設計レビューを定期的に入れる仕組みを作る。[/チェック]
[チェック]6-5. 小規模で“設計→実行→振り返り”を繰り返すことで、設計力と組織の学習能力が高まる。[/チェック]
[見出し]7.まとめ[/見出し]

マーケティングにおいて、手を動かすこと=戦術ではありません。成果を出す基盤、それが「上流設計」です。限られたリソースを持つ中小企業だからこそ、8割の成果を支えるこの設計にこそ時間と知恵を割くべきです。
上流設計が定まっていなければ、どんなに優れた戦術を投入しても“見せかけの動き”で終わってしまう可能性があります。逆に、設計が明確であれば、戦術の選択と実行がシンプルになり、成果にも直結しやすくなります。
ぜひ、まずは設計を整え、その上で戦術を始めてください。そして継続的な振り返りと改善によって、成果を再現可能なマーケティング体制へと引き上げていきましょう。
執筆:株式会社SHIKI JAPAN 取締役 / COO 瀬戸郁哉
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